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トロイダル・コアを使って工作した伝送路トランス インピーダンス変換 |
トロイダル・コアを使った不平衡を平衡に変換する
強制バランについては下記に記載していますのでご 不必要な方はこの項目を飛ばしてください。
何故今回説明および工作となった理由は 1/2λ フルサイズ1.8MHz帯ダイポールアンテナは工作し現在運用していますが 受信において耳が悪いアンテナのように感じました。3.5MHz帯と比較して雑音の多いバンドと思います。相手局よりコールされるのですが明瞭度がよくなく雑音に埋もれてしまいます。受信レベルとして常時ノイズレベル+10dBほどのS/N比が取れない場合まともな交信はできません。時々周期の長い20~30dBレベル差のQSBが発生します。直径1mほどの同軸ケーブルを使った磁界ループアンテナも工作し実験しましたが感度が悪くS/Nも改善できなかったため実験程度となってしまいました。
交信した局から得られた情報として耳の良いアンテナはどうもループアンテナ系を使っているようです。1.8MHz帯の 1λ ループアンテナとなれば 全長160mほどのアンテナ線長であり アンテナインピーダンスはハイインピーダンスとなります。ビバレージアンテナも工作視野に入れましたが ロングワイヤー系のアンテナであり アンテナ線長は直線長さとして最低120m以上必要なようです。又指向性を持ったアンテナであり使いにくいと判断しました。
現在使用しているHF帯アンテナは バンドごとのモノバンド 1/2λダイポールアンテナで運用しており 1.8MHz帯~1.2GHz帯までのアンテナケーブル(フィーダー)は10数本ほどです。藤倉電線 8D-SFA, 日立電線 LHPX-10D(AN) 高発泡ポリエチレン絶縁・低損失 同軸ケーブルをシャック内まで引き込み その後8D-SFAは 5D-SFA又は RG58A/U に変換し無線機に接続しているシステムです。各帯域別アンテナは途中 複数個のN型同軸リレーおよびN型アンテナスィッチを活用して複数台使用している無線機本体に用途に応じて接続を変更可能としてあります。HF帯無線機では本体に内蔵しているアンテナチューナーは現在使用していません。なぜなら各バンドごとの 1/2λ フルサイズ ダイポール アンテナ VSWR値は 1.1 程になるように アンテナ長さの微調整し共振点を見つけ出し同調させています。無線機本体に付属している 送信時のパワーメーターは変調に応じて変化しますが SWRメーターの針はほとんど振れません。
現在アンテナ給電線は同軸ケーブル以外を使ったアンテナは工作・設置していません。ツェップ・ループアンテナ系ではインピーダンスが数百Ω以上であり ハイインピーダンス給電となります。アンテナカップラー・アンテナチューナーなどでマッチング動作が必要となるため運用しておりません。交信先からの情報として ループアンテナ系では無線機からのインピーダンス変換としては フロートバランを複数個使ったインピーダンス変換バランおよび同軸ケーブルを使ったUバランで運用されているようです。1.8MHz帯のUバランの場合バラン部のUバラン部の同軸ケーブル長が結構な長さになると思います。
受信専用 デルタ型もしくはクワッド型ループアンテナを工作するためのインピーダンス変換用バランの工作です。その構造図面を下記に掲載します。又将来的にはバランも送信可能となるように送受兼用バランとして工作します。
新規 全波長のループアンテナ系に挑戦される方へ
当初全波長クワッドアンテナを設置にあたり勉強不足でしたので ダイポールアンテナと同様にアンテナ短縮率が頭の隅にあり現実にアンテナ線長さ 160m×0.95で設計しましたが同調が取れません。同調周波数を確認すると2MHz付近に同調です。その後各先輩方にどのように設計をしているか?を尋ねました。ループ系の全波長アンテナは短縮率はダメとの回答。反対に延長率を考慮しなければならないと回答を得ました。延長率 1.05 倍付近から調整するような答えでした。1.860MHzを同調点とした場合 161.3m です。この数字に延長率 1.05 を掛け算すれば 169.35m になります。当初設計した数字は 160m ×0.95 でしたので 152m です。不足分の線長は 17m 以上不足であったのが判明しました。以前6mほどアンテナ線を延長しましたが改善できません。半波長7MHz ダイポールアンテナに匹敵するようなアンテナ線不足数字です。そのため現在は受信専用アンテナとして活用中です。
最終的には送信可能なアンテナとして 調整後全長何メートルで同調が取れたかの報告は後日とします。
まずは一人作業となりますが 1.8MHz帯 アンテナ支柱の工事から始めなければなりません。
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CQ出版 トロイダル・コア活用百貨よりの抜き出し配線図 |
配線図面で・マークはペア線を巻いたときの巻き始め側を表しています。
上図はトロイダル・コアを使ったバランの配線図です。FIG-2は次項目で工作した 50Ω 1:1 の
強制バランです。
今回工作したバランは FIG-3,FIG-4 の巻線比 1対2・1対3のバランです 。バランでの入力インピーダンスが 50Ω の場合出力側のインピーダンスは 巻線比の二乗に比例する により 1対2では 200Ω 1対3では 450Ω となります。無線機からの出力インピーダンスが 50Ω ですので 何とか工作する全波長 デルタ・ループアンテナもしくはクワッドアンテナに多用される梯子フィーダー接続できるように思います。計画段階ですがマッチングトランスから直接アンテナ線に給電し 梯子フィーダーを使わない方法も試行したいと思います。1/2λ ダイポールアンテナと見た目も同様の設置方法としたいからです。無線機からは 50Ω同軸ケーブル で配線し アンテナ線接続部で整合を取る方式を計画しています。次項で工作した強制バランと同様に マッチング回路を防水ケースに搭載可能と思います。
又75Ω同軸ケーブルからであれは 出力は 300Ωと675Ω となります。倍率に換算した場合 4倍と9倍です。FIG-5 はN個接続した場合 倍率は N×N倍 になります。
工作での注意点として 必ずコアに巻きはじめと巻き終わりには注意してください。各接続する配線は位相合わせが重要です。コアからの引き出し線に赤色・黒色に着色した熱収縮チューブを目印としてあります。又コアに巻き付ける方向も同じ向きとしなければなりません。
FIG-1は フロートバラン,float balun (ソータバラン,sort-a-balun) の基本回路です。トロイダル・コアに2本の絶縁電線を巻きつける構造であり 別名 アイソレーショントランス とも呼ばれます。この回路は市場では電気機器に数多く採用されています。特にスイッチング電源など 高い周波数成分を含んだ雑音などが機器からACラインに漏れないようにする機能 ノイズフィルター回路です。
アイソレーション(isolation) 日本語で解釈するに難しい面もありますが 絶縁性・分離特性が良い と解釈できますが 入力されたものが出力側から見た場合あたかも分離されている(インピーダンスが高くなる)ような特性です。アマチュア無線では給電線に電波が乗らないように空中線と給電線が分離する役目で整合器としてよく使われます。基本的な考え方である 方向性整合器については文献等を参照してください。
G5RV アンテナにおいて同軸ケーブルと 450Ω アンテナ給電線との接続点にこのアイソレーショントランスを挿入して運用される方も見受けられます。同様に同軸ケーブルを十数回巻いた空芯コイルとしてアイソレーターとして使うこともあります。元祖 G5RV アンテナは同軸ケーブルと450Ω給電線との接続点は単なる接続でバランなどは挿入されていません。
今回工作した 1:2, 1:3 のバラン工作においてジャンク基板から抜き取ったトロイダル・コアを使った工作です。元々の使用用途としてはインバーター制御基板に取り付けられていたノイズカットフィルター用途であり アマチュア無線でよく使われるアミドン FT系,T系コアではありません。そのため所有しているHF帯SSGのRF信号で出力波形をオシロ波形観察しながらコアでの損失等を検証し コア種による使用できる周波数帯域を見つけ出しました。
一番最初に記載した画像で 左上 1:2 右上 1:3 のバランです。右下は FIG-1のアイソレーショントランスです。使った線材は PEW 1種 0.8mm 16t巻きです。特に今回採用したジャンクコア トロイダル・コアでは絶縁被覆はなく コアの角が線材を痛めるためダイヤモンドやすりで角を丸くしています。なおかつ1.5φ熱収縮チューブに線材を通し絶縁処理後トロイダル・コアに巻き付けました。配線状況は画像と配線図を参照してください。バランの動作原理等アンテナハンドブック・教本等で確認してください。詳しい説明は省略させていただきます。
下図は特性調査のために実験的に巻いたトロイダル・コアです。
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ジャンクコア等の特性調査用として巻き上げたバラン |
実用可能と思われる使用したコア種
フェライトコア 詳細は不明 大きさ 外径25φ 内径15φ コア幅12mm コアは2枚重ねで コア幅 24mm
巻線 PEW 1種 0.8φ 長さ 1100mm×2 絶縁用熱修復チューブ 1.5φ 1m 巻き数 16t SSGより 1.85MHz 100mV/rms 信号を接続し コアの入・出力波形をオシロスコープで観測する。
これらの作業で 数種類のコアでの周波数特性および損失を調査しました。ジャンクコアであり電源回路用途のトロイダル・コアであるため 3.5MHz以上となると波形が小さくなり損失が増えるため 使用できないコアも存在しました。それは上図右上の大型コアです。右端中央はテレビ用途の 75Ω対300Ω マッチングトランスに内蔵されていたメガネ形コアを使用したバランです。1.8MHz帯受信用には使えないと思います。
比較用としてアミドン T-106#2 下段右から2番目で 1:1 の強制バランです。
インピーダンス変換用バランとして 1:1 の 強制バラン は3本の絶縁電線をトリファイラー巻きですね。強制バランのは巻線構造はよく見れば3本の電線が直列巻きとなります。片端をグランドとしその巻線の次巻線との接続部に信号を接続すればグランドを基準に1:2,1:3 のタップとすることができます。50Ωの入力とした場合 グランドを基準にすれば巻き数比で2倍と3倍の端子となります。両端に出力とすれば 1:3 の巻線比になります。1:3 の構造から出力インピーダンスは450Ωになります。1:2 巻線タップでは200Ωになります。スライダックトランスに似通った単巻きトランスが出来上がります。SSGを使った波形観測では電圧比で3倍の波形が観測できました。受信用には十分運用可能と思いますが 不平衡出力となるため平衡アンテナに接続では送信ができるかは現在不明です。
受信専用のバラン工作の場合 ジャンクコアで大きさが小さくても実用品になると思いますが 送信機からの電力を扱うには理論的な裏付けがないため実用品となるには 試行錯誤を覚悟しなければなりません。
又平衡出力を狙い 強制バランでは中間タップ間に信号を入力し両端に出力した場合正常な波形は観測できませんでした。実験失敗。
新規バラン購入時には注意してください。
下記記載した製造メーカー不明の アミドン互換品として T-130#2 を購入です。
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アミドン T-130#0 互換品 トロイダル・コア |
コイルを巻きあげましたが正常に動作しません。上記トロイダルコアは♯2材と間違って購入したコアです。詳しく調査の結果 現物は T130♯0です。扱える周波数は100MHz~300MHzまで扱えるコアです。1.8MHz帯では使うことができませんでした。よく似た色合いで肌色(TAN)であり透磁率が1です。♯2材は赤色(RED)で塗装されており透磁率が10です。購入ミスです。
同じようなトロイダルコアとしてよく使われるコアにFTコアが存在します。透磁率はT型とは大きく異なります。FT型のコアの透磁率は♯43材では μi 850 もあり 巻き数を少なくしなければ活用できません。43材での扱える周波数は10MHz程度までと思います。もしも1.8MHz帯で使用するとすれば♯61材 μi125 または ♯63材 μi40 なども良いと思います。
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左 後日購入した T130♯2(赤色) 右 誤購入 T130♯0(肌色) |
今回入手したコアは全体に着色されている色はアミドン製のような赤色ではなく肌色に塗装されていたコアを入手しました。マイクロメタル製でもないと思います。とりあえず10回巻きのコイルでのインダクタンス測定によりコアの特性調査を進めます。正規アミドン製と異なり購入コストは格安で入手できます。このコア種であれば市場では簡単に見つけ出せると思います。なぜ5個購入したかですがアイソレーショントランス2個並列では1対2です。3個並列では1対3ですので 50Ω対200Ωの変換と 50Ω対450Ω変換が各1個づつ工作できるためです。アンテナの実働状況を把握してから採用を決定したいと思います。多数局OMが所有しているような高級アンテナアナライザー等は所有していません。DELICAインピーダンスブリッジ (1100) は所有していますがRF帯域では活用できません。無線機およびディプメーター(DELICA WB-200)とクラニシSWR計(RW-211A)だけでの挑戦です。
実験結果から得られた事柄として T-130#2 コアを使用すれば1個当たりの NI値(巻き数と電流の積) が判明しています。最短磁路長 35.1 平均磁路長 43.1 が次項目で計算されました。NI値 35.1 を巻き数 20回で割れば実効値電流は 1.755A です。平均磁路長では 2.155A となります。50Ω対200Ωのインピーダンス変換トランス・ツイスト巻の場合では 入力側から見れば アイソレーショントランスが2個並列接続 となります。並列接続時 許容電力を計算してみますと 1.755A×2 = 3.51A ですので W=I・I・R(50Ω) より 616W となります。T-130#2,T-106#2 コアは比較的簡単に入手できると思います。又 T-106#2 コアで 200W 対応可能と思います。NI値 25.5×2=51 51÷20t=2.55A W=2.55A×2.55A×50Ω=325W
又1対3の巻き数比の場合許容電力は増加します。その場合のインピーダンス比は 50Ω対450Ω のマッチングトランスです。
インピーダンス比 トランスでは 巻き数比の二乗に比例する
巻き数比が2倍の場合 1対2 2×2=4 50Ω×4=200Ω 75Ω の場合は 300Ω
巻き数比が3倍の場合 1対3 3×3=9 50Ω×9=450Ω 75Ω の場合は 675Ω
となります。近年の無線設備ではインピーダンスはほとんどの場合50Ωです。75Ωはテレビ受信システムに採用されています。ファイナルアンプが真空管の場合 回路インピーダンスはトランジスター等の半導体アンプと異なり ハイインピーダンスで動作していますので パイマッチのタンク回路では75Ω給電もあります。50数年前となりますが 開局当時では 終段管 S2001 TX-88D 75Ωの同軸ケーブル(3C-2V)で運用した記憶があります。
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T-130#0コアに巻き上げた 1対2 (50Ω : 200Ω) 巻き数比のマッチングトランス |
上記はアイソレーショントランスを巻きはじめ側を並列接続とし 巻き終わり側を直列接続とした 巻き数比1対2 インピーダンス比 1対4 のマッチングトランスです。アイソレーショントランスを3個使った場合は 巻き数比 1対3 インピーダンス比 1対9 のマッチングトランスが工作できます。しかし上記コアでは入力電圧が2倍の電圧にはならず今回採用せずにジャンクコアを使ったコアを下記ケースに搭載しました。
上記画像は T130♯0 の間違って購入したコアに巻いたものです。PEW0.8mm 28tです。
下記は参考程度としてください。失敗事例です。
今回工作したトランスは PEW線 一種 0.8mm直径 を1100mm に切断後 2本同時に28回 巻き上げたマッチングトランスです。コアのNI値 35.1 より 最大流せる電流は 1.25A ですがコアに巻かれたコイルは並列ですので 入力電流として2倍の 2.5Aまで許容があるため 扱える電力は W=I×I×R で計算できます。312.5W 300W許容のマッチングトランスと理論上いう事ができます。今回 1.8MHz帯の運用であり インダクタンス分を増やし巻き数を多くしています。今回使用したコアはジャンクコアとは異なりSSG 1.8MHz の信号ではオシロスコープ波形観測した結果 コアが1個でのソーターバランとしてはほとんど減衰(損失)はなく安心して使用できると思います。しかしコアを2個・3個使ったインピーダンス変換用バランとしては正常動作しません。
理論上アイソレーショントランスの構造では 巻線に流れる各電流は位相が逆となるためコアには同相電流と逆相電流が同じであればコア内で磁力線は打ち消しがあり磁気飽和についてはあまり深く考えなくてよいと思います。アンバランス電流が発生した場合チョークコイルの働きとなり逆送電流が発生しない構造をアイソレーションが働いたと考えることができます。記載した許容電力値については片巻線時の電流による磁気飽和しない運用での計算値ですので参考程度としてください。巻線に電力が通過する構造のため細い巻線では許容電流をクリアできません。100ワット程度の電力の巻線太さについては次項目で説明していますが 0.8mm直径以上を使用してバイファイラー巻きとしてください。
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50Ω対200Ω変換トランス アイソレーショントランス(ソーターバラン) |
トロイダル・コア T130♯2 コアに巻き上げたアイソレーショントランスを防水ケースに組み込む工作例です。次項目で工作した強制バランを組み込んだものと同様の工作です。使用した材料は水道工事用40サイズのTSキャップ内に 巻き上げた各種ののトランスを組み込みます。左側は1対2の巻き線となるように2個のアイソレーショントランスです。右側はソーターバランであり給電線に電波が乗らないようにする 1
対1 50Ω 対50Ω のアイソレーショントランス構造です。接続コネクターは N型 です。上図は組み立てに必要な必要な部品です。長ねじはSUS304ステンレス・長ねじ M5 を本体内上部に貫通しアンテナ線を絶縁碍子を使って取り付けます。結構強い張力でアンテナ線を張りますので強固な構造としています。
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同軸ケーブル接続用N接栓 黄色の電線はアンテナ接続用の取り出し線 1.25SQ |
N接栓は取付方法が異なりますが左側は1個のナット締めタイプであり 右側はパネル取付用4本のビスナットで取り付けるタイプです。今回購入したTSキャッサブはほぼ球面状態であったためやすりで接触面を平らとし 防水のため2液混合エポキシ樹脂で接着してあります。必ず底面にはスローリーク穴を設けなければなりません。下図は新規購入した T130♯2 赤色に塗装した色合いからアミドン互換製品と推察しました。PEW線1.2Φ各巻き線は20t巻きで作成です。オシロスコープで入力波形および出力波形を観察しましたが電圧比で2倍の波形観測となり 1対2の巻き線比となっています。
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TSキャップ内に装着した T130♯2 巻き数比1対2のバラン PEW1.2mm 20t ×2 |
完成したバランは合計3個作成しました。1.強制バラン 50Ω対50Ω 1対1の巻き数比 2.アイソレーションバラン2組 50Ω対200Ω 1対2 の巻き数比 3.ソーターバラン (アイソレーションバラン) 50Ω対50Ωのバラン。
これらの各種バランを工作した全波長クワッドアンテナに装着し 1.8MHz帯のループアンテナとして動作試験調査です。アンテナ線とバラン間接続を簡単とするためコネクター接続構造としました。
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完成した 巻き数比1対2のバラン |
上図は完成した巻き数比1対2バランの完成です。クワッドアンテナの1/4λ約40mアンテナ線の中間にバランを挿入するため バラン上部に SUS304材 M6 寸切りボルトに SUS304 アイナットを取り付け絶縁碍子を挿入してアンテナ線と接続です。
ループアンテナ系での実働報告は今しばらく時間を必要とするため後日報告の宿題とさせていただきます。
ジャンクコアで作成した1対2の巻き線バランでの受信テストでは 全長150mほどですがクワッド型ループアンテナでの受信だけでのテストでは 1/2λフルサイズダイポールアンテナのほうが受信レベル差は 6~8dBほど大きくノイズレベル差が発生していました。まだ長時間運用していないためアンテナ種類による明瞭度差の報告は後日とさせていただきます。上記記載分のバランを次回山小屋に入山時 クワッドアンテナに接続して試験予定です。
ジャンクコアバランから上記工作した T130♯2 コアの1対2のバランに交換し アンテナ線長をバラン両端3mほど延長しましたが 同調点は2MHzほどであり 1.850MHzに同調できません。設計段階でアンテナ短縮率をダイポールと同様の 0.95 で設計では同調しません。1λのクワッド・ループアンテナ系での工作事例が少なく アンテナ線長を長くしなければなりません。山と山の尾根間に設置していますので全長160m長となれば調整作業は体力勝負です。
ちなみに調整作業として宅内に引き込んだ同軸ケーブルに2ターンのコイルにディプメーターで測定します。同調点の周波数確認として受信機で受信すると9オーバーの信号が受信でき 周波数カウンターを使わなくても正確な周波数が把握できます。1.8MHz帯ダイポールで受信した場合+20dB以上の信号強度でした。
現在受信専用として運用です。ダイポールアンテナでの受信強度に比較してー3dBほどのレベル差が発生していますが 明瞭度は改善できています。ジャンクコアバランから T130♯2 バランに交換して受信レベルが改善できました。時間をかけて目的周波数に同調させるにはもうしばらく時間がかかります。このクワッドアンテナで3.5MHz帯および7MHz帯においても受信専用アンテナとして活用できています。
無銭庵 仙人は名前のごとく ポケットマネーが乏しい中ガラクタを集め 何とかジャンクコアを使ってインピーダンス変換バランの工作ができました。後は山小屋でデルタループアンテナを設置後 運用・実験・結果報告については今しばらくお待ちください。バランには送信機を接続しての調査も予定しています。実験により 1:2,1:3 バランどちらが良いかが判明すると思います。アンテナ工事を含め詳細報告は短時間では解決できません。ご勘弁を ! ! !
1.8MHz帯1/2λ フルサイズ ダイポール アンテナ設置工事には計画・準備から4か月ほどかかりました。山小屋に入山は一月に七日ほどしかできないためです。それも冬場しかできません。アンテナのセンターポール(15m/h)は既存分でしたが 両サイドの4分割多段積み鋼管柱(14m/h)及び支線工事は足場組立・撤去も含め手間取りました。
無銭庵仙人の独り言
同軸ケーブルをトロイダル・コア、パッチンコアに巻いたり挿入してアマチュア無線を運用されている方は数多くおられると推察します。この理論はアイソレーショントランス・ソーターバラン(フロートバラン)の活用です。
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トロイダル・コアを使ったアイソレーション用途の現物
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上図は妨害雑音除去・電子機器からの発生する妨害阻止用途のトロイダル・コアを使った接続ケーブル類です。特にアマチュア無線の I (インターフェア)対策用途として上から2番目のコアが通称パッチンコアと呼ばれるものです。電話機・テレビ・インターホーン・ステレオなどに妨害防止策としてアマチュア無線ではよく使われていますね。これらはトロイダル・コア1回巻きのアイソレーショントランス構造です。これらのコアには周波数特性があるため使用用途についてはコアの材質も考慮しなければなりませんね。
ジャンクコアであっても場合によっては使用可能な場合もありました。目的に合わせてそのコアに高周波電流を流して実験結果から判明したことです。
1波長のループ系アンテナの場合 三角形にアンテナを張れば デルターループアンテナ ですね。四角形にアンテナを張れば クアッドアンテナ と呼ばれます。4の数字を表す言葉としてカルテット・クオーターが用いられます。クワッドアンテナとは4辺のエレメントを持つアンテナと解釈できます。円形に張れば名前のごとく ループアンテナ といわれます。特に波長が長くなればアンテナ同調を取るのに苦労するはずです。1/2λダイポールアンテナの同調を取るのにアンテナエレメントの長さを調整します。反対にアンテナエレメント長さが短い場合どうされますか。ローディングコイル(インダクタンス成分)をアンテナエレメントに直列に接続します。通称短縮アンテナと呼ばれ センターローディング・トップローディングなどの接続方法があります。1.8MHz帯運用されているアマチュア無線局などでは3.5MHz帯半波長ダイポールアンテナ両端に 1.8MHz帯用延長コイルを追加し2バンド・ダイポールアンテナで運用されている方もみかけます。1.8MHz帯運用ではアンテナ設置条件により苦労されている方も見受けられました。
折り返し半波長ダイポールアンテナですが 構造はループアンテナそのものです。昔の話です。300Ωリボンフィーダーを使って7MHzを運用した経験があります。1/2波長のアンテナエレメントの両端を短絡し 中央で平行線の一部を切断し給電用 300Ωリボンフィーダーを接続したアンテナです。よく見れば配線はループ状です。通常のダイポールアンテナのインピーダンスは 70Ω前後で50Ωの同軸ケーブルで給電して運用していますね。折り返しダイポールアンテナはハイインピーダンスでありアンテナカップラーがないと通常運用できませんでした。
ここであまり聞きなれない話をします。1波長より長いアンテナエレメントの場合同調はどのようにすればよいかです。通常アンテナ線長さを調整します。アンテナ線が短い場合 先ほどはL成分のコイルを挿入しましたが 逆特性であるある C成分 キャパシタンス をエレメントに直列に接続すればアンテナの同調を取ることができます。短縮コイルとは逆の 延長コンデンサーと呼ばれます。単一型アンテナ・マルチバンド モービルホイップアンテナなどに見受けられます。Lとは逆にアンテナ同調周波数範囲は広くなります。あまり聞きなれない同調方法です。
アンテナエレメントの長さを細かく調整しなくても 簡単にアンテナ同調を取るのに使用されるものとして 各メーカー製マルチバンド・アンテナカップラーがあります。近年ワイヤー系アンテナで運用される局のほとんどは 屋外設置型のアンテナチューナーでの運用が目立ちます。チューナー同調回路をよく見るとアンテナエレメントに直列にバリコンが挿入され キャパシタンス成分を可変させて長いアンテナ線の場合同調を取っています。反対にアンテナエレメントが短い場合 アンテナカップラーのコイルの接続点を変更してL成分を変化させて同調を取っています。同調回路の基本は T型同調回路と パイ(π)型同調回路の組み合わせと思います。これらのLとCの組み合わせによりアンテナエレメントの同調を取って運用しているわけです。昔は手作業で同調を取っていましたが 現代ではマイコン制御する方式と進化しました。現代のアンテナチューナーの中身は 固定コンデンサー・高耐圧バリコン・固定インダクター・リレー類など多数の部品で構成され マイコンとSWR検出部との制御で短時間に同調作業が行われます。バリコンはステッピングモーターで駆動されています。又メモリーで以前の同調状態を記憶しており 素早くQSY可能となっていますね。
アンテナ同調用コイルですがアメリカ軍用アンテナではバリエルといわれる可変インダクターが存在し簡単にどのような条件でもアンテナ同調取り運用されます。
特にアマチュア無線のアンテナ工作において知っておけば得することがあります。それは同軸ケーブル 5D-2Vなどに使用されている 中心導体と外皮網線間に存在する絶縁物の特性を知らなければなりません。絶縁物はポリエチレンです。PVCビニール素材に比較して温度特性・絶縁性がよいため採用されます。このポリエチレンが空中・直射日光の当たる場所ではポリエチレンが紫外線により劣化することがあります。ひび割れが発生し水分を含むと絶縁不良が発生します。電力ケーブルではCV線と呼ばれ屋外接続部では仕上げテープで紫外線と防水対策をしなければなりません。特にダブルバズーカアンテナのように同軸ケーブルをアンテナ線とした場合接続部は必ずポリエチレンが露出します。又同軸ケーブル 5D-FB,FV,SFA 高性能の発砲素材もありますがこれが長期間屋外にさらされた場合絶縁不良を発生するため ポリエチレン部の防水・紫外線逃れ対策が必要です。又同軸ケーブルを高耐圧・小容量コンデンサー、インピーダンスマッチング(Uバラン)回路としてよく工作事例がありますがこれも注意が必要です。防水には信越一液縮合型RTVゴムKE-45 が最良と思います。その後紫外線防止の絶縁テープを使われることを推奨します。メーカー製 144,430MHz帯八木アンテナのインピーダンス比4対1 マッチング部には Uバラン が採用されており 1.5D-2Vが狭い空間に折りたたまれ詰め込まれていました。
信越一液縮合型RTVゴムKE-45 を常備保管されることを推奨します。温度・絶縁性・耐油性・耐水性に優れており 防水パッキンに塗布することにより気密性が増します。同軸ケーブルコネクター部の防水処理としても有効です。ゴムの特性があり弾力性があり又剥がしとることもできます。保管は開封すると通常空気と触れた場合硬化が進みますので 使用後密封し冷蔵庫に保管すれば長期間保管することができます。電子回路においても重宝する絶縁体です。
by musenan sennin